溝口健二監督の『雨月物語』について、ゲストの美術監督・種田陽平氏と語ります
「Movies We Like」今回のエピソードでは、美術監督の種田陽平氏にご参加いただき、彼 の魅力的な経歴と、彼のお気に入りの映画の 1 つである溝口健二監督の 1953 年の名作 『雨月物語』についてお話しいただきます。種田氏は、美術学生だったころから、キル・ ビル Vol. 1、ヘイトフル・エイト、モンスター・ハント シリーズ、金陵十三釵、思い出の マーニーなど、日本とアメリカの両方の映画で働いた経験まで、プロダクション・デザイ ンの世界への道のりを語ります。
エピソード全体を通して、種田氏はプロダクション・デザインの世界について独自の洞察 を提供し、実写とアニメーションの両方の映画で没入感のある世界を作り出す複雑さにつ いて語ります。監督のビジョンと自身の芸術的感性とのバランスを取る難しさ、そして一 貫性のある視覚体験を生み出すために他の部門と協力することの重要性について掘り下げ ます。
会話が『雨月物語』に移ると、種田氏は映画の忘れがたい美学と、溝口監督の空間とデザ イン要素の使い方が幽霊のような雰囲気にどのように貢献しているかを探ります。彼は 『雨月物語』と当時の他の日本映画を比較し、水の象徴的な意味と映画のビジュアルスタ イルに対する能の影響を強調します。
『雨月物語』は時代を超えた傑作であり、溝口監督の芸術的ビジョンと観客を異世界に運 ぶ映画の力の証です。種田氏のこの映画への情熱とその作りに対する深い理解は、聴取者 のみなさんがこの忘れがたい古典をもう一度見たくなる魅力的な議論を生み出します。私 たちは『雨月物語』の芸術性を掘り下げ、種田氏の素晴らしい美術監督としてのキャリア を探る素晴らしい時間を過ごしました。
このエピソードの翻訳を担当してくれた冨永宏に心から感謝します!
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種田陽平(たねだ・ようへい)について
過去 20 年間、種田陽平は世界中の映画製作者とコラボレーションし、クエンティン・タ ランティーノ監督との「キル・ビル Vol. I」、チャン・イーモウ監督との「金陵十三釵」、 押井守監督とのアニメ「イノセンス」など、数々の賞賛とクレジットを獲得してきまし た。南京大虐殺を描いた壮大な映画「金陵十三釵」では、種田は南京において映画の時代 背景をセットで再現しました。70 か国で公開されたこの映画は、当時、中国映画史上最 高額の予算で最も成功した作品の 1 つでした。種田のその他の海外作品には、キアヌ・ リーブス監督の『ファイティング・タイガー』、ラマン・ホイ監督の『モンスター・ハン ト』、タランティーノ監督の西部劇『ヘイトフル・エイト』、ジョン・ウー監督の『マン ハント』、ウォッシュ・ウェストモアランド監督のNetflix作品『アースクエイク バード』 などがある。
種田の多くの注目すべき非英語作品には、岩井俊二監督の『スワロウテイル』、リー・チー ガイ監督の『不夜城』、三谷幸喜監督の『THE 有頂天ホテル』と『ザ・マジックア ワー』、李相日監督の『フラガール』と『悪人』などがある。種田の仕事は、三谷幸喜監 督の『ステキな金縛り』と、台湾金馬奨で最優秀作品賞を受賞したウェイ・ダーション監 督の台湾映画『セディック・バレ』の驚異的な成功に貢献した。
種田はスタジオジブリともコラボレーションをしており、アカデミー賞最優秀アニメ映画 賞ノミネートなど多くの賞やノミネートで高く評価された『思い出のマーニー』などのア ニメ映画を制作。また、スタジオジブリと共同で「借りぐらしのアリエッティ×種田陽平 展」を監修。東京都現代美術館が主催したこのイベントは「映画美術」を独立したプレゼ ンテーションとして鑑賞する機会を一般の人々に提供し、巡回中に70万人以上を動員し た。
『キル・ビル Vol.1』で米国美術監督協会・最優秀美術賞にノミネートされたほか、日本 では名誉ある紫綬褒章を受章、文化庁からは芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。
種田の芸術活動は、膨大な数の映画作品に代表されるだけでなく、アート インスタレー ション、舞台美術、特殊映像、CD や DVD のジャケット デザイン、そして自らが執筆し た数冊の本など多岐にわたります。